亭主関白時代の女性たち
今の60代、70代の人たちは今の若者たちとは考え方がまるで違っています。例えば、夫婦関係においては亭主関白な男性がかなりの割合で占めているように思います。今でこそ、共働きであれば家事を分担して生活をするスタイルが主流となっていますが、昔は女性が仕事を持っていてもそんなことは関係ありませんでした。というよりも、女性が外に働きに出るということ自体が男性にとっては解消がないと思われる節があったように思います。そのため、女性は家庭に入って家を守るものだと思われていました。
私の両親も、結婚当初は母は家庭に入り育児や家事を完璧にこなす生活をしていましたが、本来専業主婦は向いていない性格のようで、育児がひと段落した時点で外に働きに出たいと父に相談してみたそうです。すると、頭から反対はされなかったものの育児と家事の両方において完璧に今までと変わらずにこなすことができるならいってもいい、という返事だったそうです。今までと変わらずに完璧に、ともしも私が言われたとしたら、働きに行くのを断念したかもしれません。しかし、母は働きながら、そしてそれまでと変わらずに家事も育児も父の世話もこなしました。今思えば、母はいつ休んでいたのだろうと謎が深まります。
その後、父も母も定年の年になり、二人の時間を過ごすようになってから、父の方では母に感謝を表すかのように今までではしたことのなかった家事を手伝うようになっていました。いつも、というわけではありませんが、気が向けば洗い物をしたり、洗濯をしたり、掃除をしてみたりといった感じです。母もとても嬉しそうにしています。そんな父の姿はとても微笑ましいです。